バルトロメイ・ビットマン

Bartolomey
Bittmann

About us

限界に挑戦する
Progressive Strings Vienna

 

Q:あなたたちの音楽を聴いていると、とてもストリングスのデュオには聞こえません。バンドで演奏したら60年代や70年代のロックのように聞こえるかもしれませんね。

 
マティアス:僕らの音楽の目的は僕らが過去に聴いてきたあらゆる音楽を自分たちの楽器に流し込むことなんだ。僕らのデュオは最初からとてもバンド然としている。マハビシュヌ・オーケストラなんかの音に近いと思う。でも僕らは最初からこうしようと決めていただけではない。デュオを結成した時僕らが望んだのは、一緒に演奏したらいったいどんなサウンドになるだろうということだけだった。僕らの練習においては、相手のどんなアイディアに対してもオープンで柔軟でいることが重要だ。一つのアイディアや、リフや、グルーヴのパターン、メロディのアイディアからどんどん発展させて最終的に何かを創りだしていく。
 
クレメンス:6070年代のロックに近いというのは嬉しいね。僕らのアンサンブルで目指していることの一つはそれかもしれない。僕らは僕らの楽器に新しいレパートリーを与えたいんだ。どんな音楽の垣根も超えてね。チェロとヴァイオリンは通常クラシック音楽のための楽器だ。僕らが他の演奏家と違うところは、そこに僕らはバンドっぽい可能性を与えたいということ。マティアスと僕は本当によく練習をする。一緒に作曲をし、練習し、一緒に演奏をする。僕らはジャズクラブでもやれば、クラシックのホールでも演奏する。ポップスやロック向けのライブハウスでも演奏するよ。
 

Q:実際の作曲方法は?

 
マティアス:理想的な状況は…そしてそれはほとんど毎回実現できているのだけど…アイディアが十分に煮詰まると、すべてが一気に流れ出すように曲はあっという間にできあがってしまう。僕らの共同作業でもっとも楽しいプロセスの一つだ。どちらが完全に曲を完成させて、それをリハーサルに持ち込むということはあまりない。僕らが二人で同じ場所に座った時、曲はそこから生まれるんだ。その瞬間に、僕らの独創的なエネルギーが生まれる。この「一緒に創り出す」という作業は、僕らの間にとても重要な作業だ。
 
クレメンス:お互いをよく知っている必要があるよね。音楽的にも、人間的にも。そしてうまくいくと一種の催眠状態になりうる。ものすごく集中力が必要。いくつかの曲はそういう催眠状態からできた曲で、リズム的にもめちゃくちゃ複雑だ。ある一定のレベルにまとまるまで、ものすごく時間がかかる。お互いをものすごく信頼できないと一緒に演奏できない。
 
マティアス:限界を超えていきたいんだよね。最近の曲はとくに初期の曲よりもチャレンジングだ。それがとても重要なんだ。
 

Q:アコースティックなのに、すごくパワフルですね。

 
マティアス:ライブでは多少マイクを使う。僕らの表現はあきらかにクラシックのサウンドではないね。
 
クレメンス:僕らの楽器では音をひずませたり、アンプを使ったりする必要はほとんど必要ない。これらのエフェクトはすでに何世紀も前からこれらの楽器の中にすでに存在しているものだ。そういった楽器の忘れられた才能を引き出し有効的に使うことは、とてもエキサイティングだ。
 

Q:ファーストアルバムを聴いていても思ったことですが、アルバムの中に同じ曲が一曲としてないのものすごいですね。

 
クレメンス:そう思ってもらえるのはうれしいね。確かにこれだけ幅広い楽曲群のすべてを統合する要素が何かあるとしたら、それは何をおいてもこの楽器編成だ。やっと自分たちでも自分が何が好きか、何をやっていきたいのかわかってきたところだよ。そこには詩情もありロックもあり、そしてグルーヴもある。曲を書いている時はいつも「こういう意図で書いてます」という事を言いたくない。作曲は僕らのセッションの中から自動的に新しくわきあがってくる音楽の細胞であり、その一つがまた次のものへと導いてくれるんだ。過去のものをなぞるということではなく、新しいところへ行こうとするような音楽だ。
 
マティアス:最初のレコードから枚数を重ねるにつけ僕らの目標はさらに具体化してきた。僕らは二人とも新しい音楽に対してオープンだから、この発展はとても道理にかなったもので一歩一歩毎回前進していると思う。僕らに限界がない理由の一つに、僕らがたった二人だということもあげられると思うんだよね。デュオで演奏するのは素晴らしいことだ。この小さな集合体の中で、一人はもう片方の相手に本当に集中できる。そして多くの資質、側面に働きかけることが可能になる。一方でちょっとチャレンジなのは、演奏している時、常に気をぬくことが許されないこと。ロックバンドだったら、何人かのメンバーがちょっと後ろに引いて、他のメンバーに少し任せるとかそう言った演奏が可能かもしれない。それがデュオでは許されないんだ。またすべてにおいて重要なのは、僕らがこの二人だけでどれだけ大きな音を創造できるかということだ。もっとオーケストラ的な、もっと大きな音を目指している。これらすべてのことがあいまって、僕らの音楽の多様性が生み出されていると思う。
 
クレメンス:僕はマンドラの演奏もするからね。ヴァイオリンとマンドラは全く違う音楽の役目を勤め、楽曲に全く違う音楽的アプローチを加えていくんだ。ヴァイオリンの役目はチェロが弾くマティアスがベースラインを行く時、彼は完全なリズムセクションを担う。シンガーやロック的なナンバーでは特にそうだね。この役割配置は、僕がマンドラを持つと逆転する。これらのコントラストが僕らに新しい魅力を与えてくれる。曲を作る時だけじゃなくて、ライブでもそれは効果的だ。
 

Q:ライブでもお客さんはステージにたった二人だけだということにびっくりするようです。

 
マティアス:そうだね。僕らにとって重要なことは「あなたたちはすごく大きなバンドに聞こえる」と言われることだ。ステージ上にたった二人しかいないようにはとても聞こえないと思ってもらいたいんだ。もちろん自分に対する自信がないとそんな演奏はできない。重要なのは自分たちから生まれてくる音楽そのものなんだ。
 
クレメンス:いつだったかコンサートの主催者のお嬢さんがやってきて、彼女はストリングスのグループで演奏しているんだけど、僕らが演奏している曲を自分も演奏したい、って言ってくれたんだ。こういった嬉しいエピソードは僕らに希望を与えるものだ。僕らがやっていることがクールだと感じられる瞬間さ。