Petteri Sariola Home page

普段一緒に仕事をしているミュージシャンたちを訪ねてヨーロッパを回ってきた。ダブリンからイングランドの南西部Wickham、翌日はヒースロー経由でヘルシンキへ朝7:30のフライトで飛び、その後、電車で4時間ほどゆられてLapuaというフィンランドの中西部の田舎町へ。何もない! まったく何もないイケてない町にたどり着いた… でもこんな地味な町でも週末には音楽フェスティバルがある。(↙)

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夏のヨーロッパはフェスティバルだらけだ。日が長いことが理由にあげられるのだが、確かにロンドンでも8時、北欧ともなれば10時くらいまで明るい。長い夜を、みんなビールをのみ、音楽を聞きながら、充分に楽しむ。土日はフェスのメイン公演で盛り上がるのはもちろん、月曜日はともかく、火曜日、水曜日にでもなれば、次のフェスティバルのオープニングイベントと称し、再び週末に向けての熱狂の連続コンサートが開始される。毎週毎週そんな感じだ。(↗)

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今回のこのフェスティバルも夜の2時、3時まで会場内にある二つのテント、一つの屋内会場で順繰りに音楽が演奏されることになっている。ビートルズのカバーバンド、お笑いトークショウからサーミという北極圏の民族の音楽まで…出しものは様々。客層もまさに老若男女。(↙)

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地元の人が全員集合した様子だが、流石に東洋人は私だけか。ボランティアらしいティーンエイジャーの女の子からコーヒーとパンを買ったが、たどたどしい英語がとても可愛らしかった。(↙)

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ここで、ペッテリ・サリオラというものすごいギタリストの演奏をみた。フェスティバル会場内の200人くらいのキャパシティの小さな会場で、たった一人でステージに立ったペッテリ。たった一人の演奏なのに自らカウントをとり、ものすごいパワーでギターを弾き始める。まるで彼の後ろにはドラムやベースなどが存在し、すべての楽器が鳴っているような音だ。ノリノリの演奏は自由自在で、彼の中から湧き上がるように出てくる音楽に観客は皆、圧倒される。(↗)

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ここで私の中から浮かんだのは<自由>というキーワードだ。この音楽には、私たちを日々の問題や悩み事から解き放つ、そういうパワーがある、と。とっさにニューヨーク・タイムズの伝説的ファッション・ジャーナリスト、ビル・カニンガムのドキュメンタリー映画での彼の言葉を思い出した。「ファッションは鎧なんだ、日々を生き抜くための」

そう、誰にとっても生きるのが難しいこの地球は、いつも問題で溢れている。問題の解決にこの音楽は直接結びつかないかもしれない。でも、この圧倒的なパワーは私たちに絶対に必要なものだ。終演後のペッテリと少し話をしたが、この現代を生きるインディペンデント・アーティストなら誰でも持つような、彼なりの悩みや活動の大変さも伝わってきた。でもステージでの彼はそれを微塵も感じさせない。音楽を演奏することで彼は自由を手にいれた。この音楽は誰にとっても必要なものである。もちろん日本で待っている人たちにも。

ギターはもちろんヴォーカルも素晴らしく、自作曲の他にワム!やU2、マドンナなどのユニークなカヴァーもこなす。アンコールでは80年代のポップスをメドレーで演奏し会場の笑いを取ったあと、最後の最後に演奏したスローで美しいバラードが、終演後も長い時間心に残った。10/17に東京で予定されているショウケースライブが本当に楽しみだ。

2013. 8. 3 野崎洋子

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