アイルランド音楽をストリーミングで聴く人のために
歴史的な名盤をガイドブックにまとめました
- 01
- WELCOME HERE KIND STRANGER / PAUL BRADY
ポール・ブレイディの78年発表の名作
Part 1
The Album
松山晋也さんによる詳細なライナーノーツ(2011年執筆)、歌詞、ポールによる楽曲解説、それぞれの対訳(訳は五十嵐正さん)を初めて掲載。ポールも魅了された不思議な伝統音楽の世界を堪能ください。
Part 2
Lakes of Pontchartrain
Part 3
In Japan
Photo by Naoki Fujioka
From the book
ポール・ブレイディがヴァン・モリスンと並び、アイルランド最高のシンガー・ソングライターの一人である、と断言することにためらいはない。
作詞・作曲の才能、歌手としての表現力、ギタリストとしての技量、キャリアの長さと市場実績……どれをとっても彼を凌ぐシンガー・ソングライターはアイルランドにはほとんど見当たらないはずだ。(松山晋也)
歌はどうやって強くなっていくのだろう? ポール・ブレイディの歌声がまだ耳元に残り、静けさがそこで屹立したような余韻を抱きながら、脳裏によぎったのはこんな難題だった。
… ありとあらゆる情報があふれる世の中だ。そこで歌が余分なものをそぎ落とし、奇妙な言い方だが、歌となるためだけの術というか、力を身に着けていく。それがいかに困難で価値あることなのか。この日ほど、束の間の至福とともに実感した事はない。
彼の場合は、流行になびかず、時代におもねることもなく、自らと向き合うことで、それがもたらされた。
むろん、それがどれほど過酷な旅だったかは言うに及ばない。彼の歌に貫かれている強さも、大きさも、そこから来ているのだ。(天辰保文)
陽に焼かれ寒風にさらされ、芽吹きと落葉を繰り返し、強靭で大きな姿になっていった樹のある風景。
その上陽光は柔らかで、樹々の葉は風にそよぎ、その陽光をきらめかせる、優しさに包まれた光景。写真から少し気付いてもらえると嬉しいのだが。(藤岡直樹「ポール・ブレイディ撮影のこと」)
だから、またさすらうことにする。あの娘を忘れることはできないけれど、永遠に遠く離れていることが、ほんとうの意味でふたりを近づけることがわかったから。(山口洋 Story 「ポーチャントレインのほとりで」より)
彼らの反応は理屈抜きで、まったく人間らしく、直感的だ。その反応が返ってくるとき、確かにそして紛れもなく返ってくるのだが、僕は他の場所ではやったこともないふうに自分自身と向かい合う。
もっと人間らしく、はるか昔から存在する精神に声を与える基本的な個体のように感じることになる。(ポール・ブレイディ「日本に帰ってきた」より)
楽屋に着くと「How are you doing?」と言いながら、ディランはポールを迎え入れて「ほら、お前がやってる<Arthur McBride>と<Lakes of Ponchartrain>、あれはいったいどうやって弾くんだ?」とポールに尋ねた。
「まずはチューニングを変えるんですよ」とポール。(「その後のポール・ブレイディ」より)
アイルランド音楽名盤ガイドVol.1
Paul Brady
Welcome Here Kind Stranger
- 出版社 : THE MP BOOKS
- 発売日 : 2022/11/27
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 128ページ
- オールカラー
- ISBN-13 : 978-4991277917
- サイズ : A5、148 mm x 210 mm
- ホームぺージ特別価格:2,000円(税別・送料込み)
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